かみ合わせ治療
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かみ合わせの重要性 Importance
歯科医院での歯の治療は、歯の健康を維持し、咀しゃくの機能を改善して健康的な生活を送るために必要不可欠ですが、歯の健康のために歯科医院で受けるのは「虫歯」や「歯周病」の治療だけで充分と考えている方は少なくありません。本当に歯と体の健康を気遣うのであれば「かみ合わせ」についても考慮する必要があります。かみ合わせが悪いことで後述の健康被害をもたらす可能性があり、お口の中だけでなく全身にさまざまな症状が現れる可能性があるからです。昨今は軟らかくて食べやすい食品が数多く出回っていますが、それは「歯の仕事を減らす」ことでもあります。そのために、歯がきちんと生育しないお子さまが増えているのです。歯の治療においてかみ合わせを考慮することは、健康上きわめて重要な要素であることは間違いありません。
かみ合わせが悪いと起こる症状について
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虫歯の進行
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歯周病リスク
の増加 -
顎関節症に
なりやすくなる -
頭痛・肩こり
全身疾患
かみ合わせが悪いとプラーク(歯垢)が溜まりやすくなり、そこから虫歯が進行するようになってしまいます。また、かむ力がまっすぐに加わらず、歯が揺さぶられることで歯周病のリスクも高めます。とくに年齢とともに体の抵抗力が低下すると、歯周病を発症しやすくなるので注意が必要になります。さらに、顎関節症にもなりやすくなります。かみ合わせの悪さだけが顎関節症の原因であるというわけではありませんが、かんだときに安定しないため顎の関節に負担が多くかかるようになります。その他にも、頭痛や肩こりなどの局所的な症状に加えて、自律神経失調症といった全身症状の原因になる可能性もあります。かみ合わせの悪さが歯や顎だけでなく、直接は関係しないと思われているさまざまな部位に不調をもたらしてしまうのです。
普段、かみ合わせについてそこまで意識していない方が多いと思いますが、これだけの症状を引き起こしえることをぜひともご理解ください。
かみ合わせの治療方法
かみ合わせの悪さは、歯や顎だけではなく、全身にさまざまな症状をもたらして健康的な日常生活を脅かす存在となりえます。かみ合わせ治療には、適格な診査、診断が必要です。顎関節のレントゲン撮影やCT撮影、また、頭蓋と下顎骨の関係を特殊な機器を用いて測定します。治療では、まずバイトプレート(マウスピース)を用い、適正な顎の位置を模索していくことからはじめます。これによってかみ合わせのバランスを改善し、筋肉をリラックスさせて顎の関節にかかる負担を減らします。
顎関節症とは? Temporomandibular disorders
顎関節症とは、顎の関節を中心としてその周囲に何らかの異常が起こることをいいます。顎が痛い、口をあけるとカクッという音がする…など症状はさまざまで、自然に治る方もいれば日常生活に支障をきたすほど重病化する方もいます。多くの場合は適切な処置によって、日常生活を送るのに支障がないレベルにまで改善しますが、重い症状の場合は顎の機能が破壊されてしまうおそれがあります。症状のある方は早めに診断を受けるようにしましょう。顎関節症は、お子さまから高齢の方まで幅広い年齢層に見られる病気ですが、とくに20~30代の女性に多いといわれています。
こんな症状に心当たりはありませんか?
- 顎関節やその周辺が痛む
- 食べ物をかむときに痛みがある
- 口をあけるとカクッと音がする
- 顎が外れることがある
- 口を大きくあけられない
- 顎の周辺の筋肉に痛みがある
- 頭痛、耳鳴り、肩こり、めまいなどの症状がある
- 目の疲れ、充血、涙が出るといった症状がある
- 食いしばりや歯ぎしりがある
顎関節症の治療方法
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セルフケア
顎関節症の原因となっている悪習慣(歯ぎしり、食いしばり、ストレスなど)を明確にし、自己管理をしていただきます。ストレス源を認識して習慣を改めることで、症状がやわらぐ場合があります。
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スプリント療法
歯列を覆う装置(スプリント)を装着し、顎の位置を正しくします。関節が内部から安定し、顎関節や筋肉への負担が軽減します。
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咬合治療
抜けたままの歯がある、または親知らずの生え方が不自然などの理由でかみ合わせに問題がある場合は、かみ合わせを改善するための治療を行ないます。
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咬筋ボツリヌス注射
咬筋ボツリヌス注射はA型ボツリヌス毒素を活用した治療で、筋肉の緊張を緩める作用があります。ボツリヌストキシンとはボツリヌス菌から抽出されるタンパク質の種類で、毒性を取り除いたものを使用します。患者さまの咬筋(頬のあたり)に注射をすることで歯ぎしりや食いしばりの症状が緩和され、顎への負担が減って顎関節症の改善につながる可能性があります。注射をしてから3日~1週間ほどで効果が現れ、4~6ヵ月は持続するといわれています。
■ボツリヌス治療後の注意点
※咬筋ボツリヌス注射は自由診療となります。
- 安全性
- ボツリヌス注射は、歯科だけではなくさまざまな医療で活用されています。日本では、痙性斜頸・眼瞼痙攣・片側顔面痙攣を改善する方法として、厚生労働省の承認を受けています。顔のエラを小さくしたりしわを目立たなくする治療として、美容の領域でも使用されています。
- 適応範囲について
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- 咬筋(顎の外側の筋肉)
- オトガイ筋(下顎の中央にある表情筋)
- ガミースマイル(笑ったときに歯肉が大きく露出する状態)
- 口角拳上(下がった口角を引き上げる)
- 治療時間・ダウンタイムについて
- 治療にかかる時間は15分程度です。ダウンタイムはとくにありません。治療後すぐに普段通りの生活が可能です。
- 効果の持続について
- 一般的に3~6ヵ月ほど効果が持続しますが、個人差があります。詳しくは歯科医師にご相談ください。
- 副作用について
- 治療を終えた後の数日間は重たい感覚を覚える可能性があります。
かみ合わせ・顎関節症 Q&A Q&A
かみ合わせが悪いとどうなりますか?
虫歯や歯周病などの発症リスクを高めることになります。また、顎関節症のリスクを高めるほか、肩こりや頭痛、自律神経失調症などのリスクにつながる可能性もあります。かみ合わせひとつだけでもさまざまな健康被害のリスクが考えられます。
かみ合わせはどのように治療をしますか?
かみ合わせの悪さをもたらしている原因ごとに治療方法が異なります。歯並びが悪ければ矯正治療を行なう場合もございます。過去の歯科治療の結果としての詰め物や部分入れ歯などが原因の場合には、それらの改善を行ないます。
歯ぎしりはかみ合わせに悪影響がありますか?
歯ぎしりをすることで歯に大きな力がかかり、歯のすり減りが激しくなります。すり減り方が軽度であれば、これ以上のすり減りを防ぐためにマウスピースを装着して歯を保護します。しかし、すり減り方が激しい場合には被せ物や矯正治療などを行なう場合もあります。
かみ合わせを治療する場合の流れを教えてください。
まずカウンセリングで原因を探り、適切な治療方法を決定します。多くの場合はマウスピースを使用しますが、その場合はかみ合わせを精密に計測し、それをもとにマウスピースを作製します。その他、必要に応じて外科的な治療を行なうこともあります。
マウスピースはどうやって管理したらいい?
日常的に使用することで、マウスピースに口内の細菌が移り臭いが強くなります。そのまま使い続けると虫歯や歯周病になるリスクが高まってしまうので、専用の洗浄剤を使うなどし、清潔に保ってください。もちろん、お口の中をきれいにしておくことも大切です。
顎関節症とは何でしょうか?
「顎関節症」とは、顎の関節や顎を動かすための咀しゃく筋に何らかの異常が発生し、顎に痛みや開閉障害、クリック音、咀しゃくの障害などの症状を引き起こす病気です。大なり小なり、顎に何らかの症状をもつ方は全体の約70~80%にものぼるとされています。実際に男女差はないものの、病院を受診する患者さまの多くは女性です。顎の筋力が弱くて血液循環が悪いことなどが理由として考えられています。
顎関節症の原因は何ですか?
従来は、かみ合わせの悪さが顎関節症の原因であると考えられてきましたが、現在では睡眠中の食いしばりや歯ぎしりなども原因であると考えられています。また、ストレスや頬杖、猫背などの顎に悪影響を及ぼす癖や習慣なども原因のひとつと考えられており、これらの要因が複数合わさることで顎関節症の発症リスクを大きく跳ね上げるとされています。
顎関節症はどのようにしたら治りますか?
顎関節症の原因となっている癖や行動がある場合、それを認知してもらい日常生活の中からなくす「認知行動療法」が行なわれます。夜間の歯ぎしりに関しては「スプリント」という器具を用いることで対処し、痛みなどの症状に対しては温熱療法や薬物療法を用います。また、かみ合わせが原因であると判断された場合は咬合治療を行ないます。
顎関節症にかかったときに気をつけることは?
前提として顎関節に痛みがあるときは安静にし、口を大きくあけたり顎を使いすぎたりしないようにしてください。生活習慣で留意することは、まず食生活です。ガムや硬い肉などの顎を使う食べ物を避け、おかゆやそばなど負担のかからない食べ物をとりましょう。また、ストレスが原因で発症していることも考えられるので、適度なストレッチをしたり顔の緊張をほぐしたりして、リラックスする時間をつくってください。
子どもは顎関節症にかかりますか?
成長期の発育バランス、姿勢や顎の使い方、心理的ストレスによる顎の筋肉の緊張など、お子さまもさまざまな理由で顎関節症にかかります。幼児期から硬い食べ物をよくかんで食べることは、顎関節症予防になります。顎を痛めないよう適切な食生活を送ってください。
リスク・副作用
顎関節症治療にともなう一般的なリスク・副作用
- 治療内容によっては自由診療(保険適用外)となり、保険治療よりも高額になります。
- 薬物療法で鎮痛消炎剤や筋弛緩剤を使う場合、胃腸障害、眠気、倦怠感などを引き起こすことがあります。
- スプリント治療やプレート治療を行なう場合、装着を怠ると治療期間が長引くことがあります。
- 顎関節症は矯正治療により改善されることもありますが、矯正治療と関係なく悪化することもあります。矯正治療を行なったからといって、必ず顎関節症が治るというわけではありません。現段階で、顎関節症と矯正治療との明確な因果関係は示されていません。
スプリント療法にともなう一般的なリスク・副作用
- 保険適用になることもありますが、症状やスプリント(マウスピース)の種類などによっては自由診療(保険適用外)となり、保険治療よりも高額になります。詳細は歯科医師にご確認ください。
- スプリントにより顎関節の状態が改善しても、かみ合わせの状態を治さないと後戻りすることがあります。
- 筋肉に調和したスプリントを作製しないと、症状が悪化することがあります。
咬筋ボツリヌス(A型ボツリヌス毒素)注射にともなう一般的なリスク・副作用
- 機能性や審美性を重視するため自由診療(保険適用外)となり、保険治療よりも高額になります。
- 薬機法(医薬品医療機器等法)において承認された医薬品であり、筋肉の緊張を緩める効果のある製剤となります。
- 効果には個人差がありますが、一般的には3〜6ヵ月程度となり、永続的ではありません。
- 注射の際、痛みや腫れ、内出血を起こすことがあります。
- 注射2〜3日後に一時的に噛み疲れのようなだるさを感じることがあります。
- A型ボツリヌス毒素は熱に弱いため、施術直後は激しい運動、サウナ、長風呂、飲酒など汗をかくような行為は控えてください。
- A型ボツリヌス毒素が拡散してしまう可能性があるため、施術後しばらくは顔のマッサージを控えてください。
- アレルギー症状が出ることがあります。
- 過剰投与すると効果が低下することがあります。
- 緊張筋以外の部位に投与すると、食事をとりにくくなることがあります。
- 筋弛緩作用のある薬を内服中の方には、施術できないことがあります。
- 妊娠中の方、授乳中の方、妊娠の疑いがある方には施術できません。